少数言語としての手話 01 : 音声言語でない完全な自然言語

手話は近年生まれた言語なので、その歴史を繙けば言語の発生と発達のヒントになるのではないかと期待して、手話を言語学的に捉えるという趣旨のこの本を読み始めた。しかし手話はそれ以上のものを教えてくれそうだ。

第1章では手話を言語として取り扱うことの正当性・根拠を挙げている。手話者・手話失語者の脳の働きや文法機能の完備性、音声言語との構造の類似性を見ると確かに音声言語と同等の言語とみなすのが妥当なようだ。音声言語でない自然言語を知る機会というのは他にはほとんど無いし、異なる言語を考える輩には必須の研究事項だろう。
人間の言語構造を操る能力が生得的である一方、声にしろ手指にしろ言語記号はありあわせの手段で間に合わせることができるというのは重大な事実のように思える。だとすれば人類の発声器官の発達と言語能力の発達は必ずしも関連があるとはいえないのだろうか?逆説的に、進化過程における言語能力の適応度はそれほど高くなく、言語は脳の発達の副産物にすぎないという結論になりかねない。

今まで言語能力と発声器官はセットで発達したものだとばかり思っていたが、ことによると脳の発達したネアンデルタール人は手話(原始的な身振り手振りではなく、完全な言語としての手話)で会話していたのかもしれない。


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