アーカイブ 2013年 4月9日

アフリカ諸語文法要覧 02 : ジュバ・アラビア語

ジュバ・アラビア語は南スーダンで話されている、複数のアフリカ諸語(ニジェール=コンゴ語族およびナイル=サハラ語族)とアラビア語の混成により生まれたクレオールである。
アラビア語に多い喉音・咽頭化音がなく、アフリカ語に多い声調の区別があるのが特徴的である。

この言語のTMA体系があまりにも綺麗な「典型的クレオール」の様相を呈していたのではっとした。

dúrubu「殴る」の時制・アスペクト・ムード

完了 ána dúrubu úwo. 「私は彼を殴った」
bi 未来 ána bi dúrubu úwo. 「私は彼を殴るだろう」
進行 ána gí dúrubu úwo. 「私は彼を殴っている」
kán 過去完了 ána kán dúrubu úwo. 「私は彼を殴り終わっていた」
kán bi 仮想現実 ána kán bi dúrubu úwo. 「私は彼を殴ればよかった」
kán gí 過去進行 ána kán gí dúrubu úwo. 「私は彼を殴っていた」

kánが先行性、biが非現実性、gíが非点性の標識と見れば一目瞭然である。並びもTMAの順になっている。この言語は1970年代に研究が始まったらしいが、Bickertonはこれも取り込んでバイオプログラム仮説を唱えたのだろうか。バリ語を始め基層言語の中にこれに近いTMAの体系を持つ言語は特段見当たらないのでTMAに関しては本当にバイオプログラムされているのかもしれない(…と思えれば原初語の方針が立つんだが)

ちなみに言語学大辞典では「アラビア語のピジン・クレオール」の項において他のクレオールとともに言及されている。


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