アーカイブ 2013年 4月

日本手話のしくみ

日本手話の文法入門書。
語学テキストという謳い文句だが、メジャー言語にありがちな「伝統語学」とは一線を画しているので現代の言語学をかじっている者には非常に“やさしい”内容になっている。

手話の文法には、音声言語にはないような特徴がいくつもある。特に頷きによる区切りや複文の作り方は慣れないとかなり戸惑いそうだ。CL(類別詞)や一致動詞というのも独特で興味深い(もっともこの本ではCLの使い方は詳しくわからなかったが)。
状態動詞など日本語よりもむしろ他の言語に似たような特徴もあり、独立した言語という印象を強く受けた。

この本はあくまで入門書ということで、内容も限られている。もっと詳しい書籍が出てくることを願いたい。


とりあえず日本手話にはクレオールのような特徴は全くない。
アメリカ手話についても調べてみようか。


少数言語としての手話 02

読了。第2章以降は言語学的な話題は少ないけれども手話の魅力は伝わってきた。
ちょっと個別言語(とりあえず日本手話)についても調べてみようかな。


東アジア諸言語の研究 03 : 彝語喜徳方言/アプラウトによる語義反転

読了。
粤語(広東語)はタイ系言語を基層として漢語に同化した言語であることが確実とのこと。
中国語諸語はもしかしたら世界的に見ても特異な言語群なのかもしれない。古い時代に、植民地時代の西洋語が起こしたような同時多発的なクレオールの発生があり、さらに脱クレオール化を経て基層言語の中核を失っていったのだろうか。だとすれば漢語方言は旧植民地地域における西洋語の現状を先んじているわけで、貴重な研究事例になりうる。

ところで、チベット・ビルマ語派-ロロ・ビルマ語支に属する彝語の喜徳方言(標準方言)には、アプラウトによる語義反転があるらしい。他にも同じ形態法をもつ自然言語の例があった気がするのだが失念…。アルカのn対語(アプラウトによる系統的な語義交替)は新生アルカになって廃止されたが、必ずしも無理のある仕組みではないことが窺える。
著者はこの仕組みの成立について少し考察を加えていて興味深い。

以下に該当箇所(p320-321)より引用を示す(太線引用者)。

喜徳の彝語には、いろいろと興味のある現象が報告されている。その若干の例について述べておきたい。
「大きい」と「小さい」のような両極を意味する単語で、語幹は同じ形が使われるが、a-がつけられるかi-がつけられるかによって、その意味の両極が決定する語形がある。これは彝語のいろいろの方言の中でも特別な形態である。

a33 m̥u33 高い、深い i44 m̥u33 低い、浅い
a33 ȵi33 多い i44 ȵi33 少ない
a33 fi33 寛い i44 fi33 狭い

比較言語学的に見ると、m̥uは本来「高い」の意味であり、ȵiは「少ない」、fiはおそらくビルマ文語のwei2-「遠い」と同源語であると考えられるから、a-積極性とi-消極性を対立させる方法は、彝語喜徳方言でのちに作り出された構成法に違いがない。この構成法の成立を祖形からの発展過程の中でわかりやすく示すと、つぎのようになる。

祖形 ビルマ文語 彝語喜徳方言
*mrang3- 高い mrang3- a-m̥u33
*nim3- 低い nim3- × i-m̥u33
*mya2- 多い mya2- × a-ȵi33
*naň2- 少ない ne2- i-ȵi33

ビルマ文語にはi-接頭辞はなく、a-接頭辞は、動詞・形容詞から名詞・副詞を構成する役割を果たしている(lup-/louʔ/「働く」→a-lup/a-louʔ/「仕事」、mran-/mjan/「速い」→a-mran/a-mjan/「速く」)。
彝語のa-とi-の対立は、おそらく語幹の形式自体の対立とともに使われたつぎの形態が、本来の姿であったろう

a33 tu33 厚い i44 bo33 薄い
a33 n̥u55 (樹の穴が)深い i44 di33 (樹の穴が)浅い

tu33はビルマ文語thu-「厚い」に、bo33はビルマ文語pa2-「薄い」に、n̥u55はビルマ文語nak-「深い」に、di33はビルマ文語tim-「浅い」にそれぞれ対応していて、いずれもロロ・ビルマ系言語に広く分布する語幹形式である。


GW

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ゴールデンウィーク中、帰省につき更新が滞る可能性が高いです。というお知らせ。


avelantis 16 : 万華鏡当たり判定できた。

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そろそろ弾幕作らないとなあ。
あと中ボスのアニメ作らんとなあ。
やっつけ投稿なんだよなあ。


東アジア諸言語の研究 02 : 回輝語

回輝語が面白い。
回輝語は中国海南島の一部で話されている言語で、語彙系統的にオーストロネシア語族に属するにもかかわらず単音節声調言語である。この変化は中国語などの強い影響によるとされる。
多くの語彙の一部の音節が切り落とされるというのは普通は考えにくい事態だが、自然言語は人工言語より奇なり。音節の切り落としに伴って生じる声調のパターンは声調発生(tonogenesis)の明瞭な例として参考になるだろう。


ところでアルカのメテ方言の声調発生(旧設定)は何かを参考にしたのだろうか。気になる。


東アジア諸言語の研究 01 : 漢語とタイ諸語の関係

西田龍雄のシナ・チベット語研究の書物(著者はタイ諸語もシナ・チベット語族の一部と考えている)。Ⅰ巻と題するのに続きがなかったり、この本自体章半ばで終わっているのがまず残念。また、2000年発行の本だが後書きによれば原稿は10年以上前のものらしいので注意を要する。

難書である。
最初の方は各言語の音韻・文法の記述と比較が続くのだが、全体像が掴めないので読むのが辛い。p185(タイ語の発展と漢語の発展)でようやく主張の全容が見えたといったところである。

ところでそのp185に看過できない一文を見つけた。

一般的にいって、同系統に属する言語は、分離してのちも、変遷していく方向にかなりの程度に並行性を示すものである。

このような現象は寡聞にして知らない。事実だとすれば、類例、そして原因を知りたい。
著者は漢語とタイ祖語において声調が並行して発生・発達した事実を漢語・タイ語が同系であることの重要な証拠として扱っている。自分などは漢語とタイ祖語がある時期に接触して影響を与え合った(あるいは第三の言語から影響を受けた)と考えるのが真っ当に思えるのだがどうだろうか。


avelantis 15 : 三角形と動いている円の当たり判定

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万華鏡展開時の弾の当たり判定を作成中。
参照範囲に入っている弾の当たり判定の鏡像を作成→自機と当たり判定という風にやるのだけれども、前段階として弾が参照範囲(万華鏡の基準となる三角形)に被っているかどうかを判定するために三角形と円の当たり判定を作成。
動いている円と三角形の判定なので実質的に五角形と円の判定になる。これがまたなかなか面倒なわけで。頭の体操には持って来いだな。

雑な図だけど今回考えた手順は以下のような感じ。任意の凸多角形と円の衝突に応用可能。③がちょっとアクロバティックだけど②で使う10個の点を再利用してるので実装は簡単なはず。


少数言語としての手話 01 : 音声言語でない完全な自然言語

手話は近年生まれた言語なので、その歴史を繙けば言語の発生と発達のヒントになるのではないかと期待して、手話を言語学的に捉えるという趣旨のこの本を読み始めた。しかし手話はそれ以上のものを教えてくれそうだ。

第1章では手話を言語として取り扱うことの正当性・根拠を挙げている。手話者・手話失語者の脳の働きや文法機能の完備性、音声言語との構造の類似性を見ると確かに音声言語と同等の言語とみなすのが妥当なようだ。音声言語でない自然言語を知る機会というのは他にはほとんど無いし、異なる言語を考える輩には必須の研究事項だろう。
人間の言語構造を操る能力が生得的である一方、声にしろ手指にしろ言語記号はありあわせの手段で間に合わせることができるというのは重大な事実のように思える。だとすれば人類の発声器官の発達と言語能力の発達は必ずしも関連があるとはいえないのだろうか?逆説的に、進化過程における言語能力の適応度はそれほど高くなく、言語は脳の発達の副産物にすぎないという結論になりかねない。

今まで言語能力と発声器官はセットで発達したものだとばかり思っていたが、ことによると脳の発達したネアンデルタール人は手話(原始的な身振り手振りではなく、完全な言語としての手話)で会話していたのかもしれない。


タグを減らしたりカテゴリを増やしたり

無題

カテゴリを整理して読書記録をNDCベースで分類してみた。
しかしタグがほとんど不要になってやっちまった感が。どうだろう。カテゴリに図書分類法を使うのは理にかなってるとは思うんだけど。

でもプラグインWP-Dtreeを入れたらだいぶ見通しが良くなった気がする。サイトマップ自動生成してくれるようなもんだな。


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