接触言語 03 : クレオールの起源 普遍主義と基層言語

第6章「クレオール語の起源」まで。
章題のとおり、クレオールの起源について普遍主義アプローチ(特にBickertonの言語バイオプログラム仮説)と基層言語アプローチの論争を通して取り扱っている。著者は基層言語アプローチ寄りで、バイオプログラム仮説に対し以下のような多数の反論を挙げている。

  1. Bickertonの定義するクレオールに当てはまる言語例が少なすぎる
  2. Bickertonの定義に当てはまるクレオールにも際立った反例がある
  3. Bickertonの挙げるクレオールの特徴には多くの反例がある
  4. ピジンのクレオール化はBickertonの想定よりも緩慢であり、また形成期の2言語使用は基層言語の寄与を強く示唆する
  5. 多くの自然言語はバイオプログラム言語からあまりに逸脱している
  6. クレオールに共通する特徴は共通の基層言語(西アフリカ諸語)の地域的特徴により説明できる

多くの言語学者がBickertonに与しない姿勢を見せているとおり、この議論は全体的に見て基層言語側にかなりの分があるのは確かである。しかしながら、上記の5点目に関しては容易に再反論できる。すなわち、バイオプログラム言語は習得に特化した言語であり、時を経た自然言語は運用性を求め複雑化し、また文化の要請に応じて多様性を獲得するのである。この点はBickertonも同様の言及をしていたはず。


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