アーカイブ 2013年 3月21日

接触言語 02 : ピジンの起源

第4章「ピジン語からクレオール語へ:段階的発達」の途中まで。
ピジンを概観してみると、Bickertonがクレオールの普遍的特徴として挙げていた文法項目の大半はピジンにも共通しているようだ。ここまで触れた範囲では、クレオール化・言語習得の過程にバイオプログラム言語の萌芽を見たBickertonの主張は怪しく思える。

むしろ外国人言葉(外国人や赤ちゃんに向けて使われる、母語を単純化した言葉)などのほうがピジンの起源としては説得力がありそうだし、主流の見方であるようだ。ただし、この説はピジンの発生については説明できるもの発達段階については十分な説明とならない。

いずれにせよピジンの単一起源説1 は非西欧語の上層言語を持つピジンの観察により現在ではほぼ明確に否定されていると言う。このことから、言語の文法簡略化アプローチには人類共通の戦略があるというのがひとつの有力な見方である。

もうひとつ有力なのが、ピジンに共通する文法は共通の基層言語に依存しているという見方である。この学説については詳細は6章待ち。ちなみにチラ見したところ6章ではBickertonが熱い批判に曝されている。
それにしてもこうして並べられた学説を眺めていると、ピジン・クレオールは発生する環境が限られておりデータが英語~ロマンス語-アフリカ諸語の接触に偏るのでとかく研究者も惑わされがちな研究対象であることを実感する。


  1. 地球上のあらゆるピジンはポルトガル語などを語彙供給言語とするピジン祖語を持ち、そのせいで文法が類似しているとする説。

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